AIが変えたサイバー攻撃:年1回の研修が通用しない理由
少し前までは、フィッシングメールやサイバー攻撃には「わかりやすいサイン」がありました。例えば、不自然な文法、スペルミスだらけのリンク、見るからに怪しい添付ファイルなど。どれも「これはフィッシングです」と自分から白状しているようなものでした。
少し前までは、フィッシングメールやサイバー攻撃には「わかりやすいサイン」がありました。例えば、不自然な文法、スペルミスだらけのリンク、見るからに怪しい添付ファイルなど。どれも「これはフィッシングです」と自分から白状しているようなものでした。
ESETが公開した2026年上半期(H1)の脅威レポートによると、攻撃にAIが取り入れられるなかでも、サイバー攻撃者は依然としてソーシャルエンジニアリングを主な手口としています。
McAfeeのリサーチャーによると、SNSに投稿された写真から、攻撃者がAIツールを使って撮影場所を特定できることが明らかになりました。こうして得られた情報は、その後、標的型のソーシャルエンジニアリング攻撃に悪用される可能性があります。リサーチャーによると、無償で利用できるAIモデルでも、約90%の精度で写真の撮影場所を正しく言い当てられるとしています。
SpyCloudの最新レポートによると、過去12か月間でFortune 100企業の86%において、フィッシング攻撃によって従業員の情報が流出していたことが明らかになりました。特に、IT、航空、自動車の各業界が最も大きな被害を受けています。また、78%の組織が、この1年でフィッシングの件数が増加したと回答しています。
いま、サイバーセキュリティの現場で「注意力」ほど貴重なものはありません。通知は絶え間なく届き、コンテンツは無限に流れ続け、意識はあちこちに引っ張られる。こうした現代のデジタル習慣は、情報の受け取り方をすっかり変えてしまいました。いわゆる「TikTok脳」です。そして本当に問題なのは、情報の受け取り方だけでなく、私たちの判断の下し方まで変わってしまったことです。
どれほど高度な技術やシステム、詳細な規則を導入しても、それを実際に運用する「人」と「組織の文化」が正しく機能しなければ、強固に見える防御壁も一瞬にして無効化してしまいます。
セキュリティは、一度きりのトレーニングプログラムから脱却し、組織全体に組み込まれ、AIを活用した動的な「人とAIのリスクオーケストレーション」へと進化しなければなりません。
ReliaQuestのリサーチャーによると、攻撃者は一連の攻撃を自動化し、効率を高めるためにAIツールを悪用し続けています。
Palo Alto Networks傘下のUnit 42によると、攻撃者がMicrosoft Teamsをはじめとする業務用コラボレーションツールを悪用し、ソーシャルエンジニアリング攻撃を仕掛けるケースが増加しています。攻撃者は、IT担当者になりすましたTeamsのメッセージを送り、ユーザーに多要素認証(MFA)の承認を求めます。この手口は、犯罪組織から国家支援型の攻撃者まで幅広く用いられており、組織の環境への侵入に悪用されています。Microsoft Teamsには潜在的な攻撃についてユーザーに警告する仕組みが備わっているものの、ユーザーが騙されてメッセージを受け入れてしまうケースが後を絶ちません。
リードアナリスト:Jeewan Singh Jalal、Louis Tiley
KnowBe4 Threat Labsは、2026年4月第1週から6月22日までのフィッシング活動を追跡しました。その結果、ワールドカップ前の盛り上がりから開幕直前、そしてグループステージの戦いが繰り広げられる現在に至るまで、攻撃が段階的にエスカレートしている実態が最新の追跡データから明らかになりました。