先日、勤務中に以前やり取りのあった企業からメールが届きました。
しかし、そのメールには本文がなく、添付ファイルだけであったため、怪しいと疑い、Phish Alert Button(PAB)を使って、社内の情報セキュリティ部門に報告しました。すると、直ぐに、そのメールは悪意のあるメールであることが判明しました。
しばらくして、その送信元の企業から、アカウントが侵害され、フィッシングメールが送信されていたという連絡が届き、不審なメールを削除するようにと注意喚起がありました。迅速かつ適切な対応でしたが、とはいえ連絡が届いたのは私がメールを受け取ってから数時間後のことでした。
このインシデントから、いくつか重要なことに気付かされました。
- トレーニングの効果:セキュリティ意識向上トレーニングにより、警戒すべき点を見て悪意のあるものと見抜くことができました
- 直感の重要性:違和感を覚えたとき、それを信じて行動することが大切です
- セキュリティツールの活用:PABは非常に有効でした
- 社内の迅速な対応:情報セキュリティ部門の報告に対する素早い対応が、効果的なセキュリティ対策が実践されている証拠です
- 外部からの明確な情報提供:侵害された組織が迅速にそのことを開示した姿勢は称賛に値します
- ポジティブなセキュリティ文化:KnowBe4の情報セキュリティ部門は、潜在的な脅威の報告を促進し、報告を称賛する文化を築いています
組織を守るには、PABのようなツールに加え、それを従業員が安心して使える文化が大切です。「報告することで迷惑をかけるのでは?」と心配する必要はなく、報告という行動に移したことが良い行いとして評価されます。
このような文化によって、次のような効果が得られます。
- 脅威の早期発見につながる
- セキュリティは一人ひとりの意識と行動から始まるという認識が広がる
- セキュリティを「自分ごと」として捉える組織文化が形成される
こうした文化があってこそ、従業員全員が組織の防御に積極的に取り組むことが可能になります。
逆に、もし私が十分なトレーニングを受けておらず、社内の報告フローも知らず、適切なツールもなければ、このインシデントはもっと深刻な結果を招いていたかもしれません。
被害を受けた企業からのフォローアップメールは丁寧で、インシデントの発生経緯、取られた措置、今後の予防策が明確に説明されていました。誠実な対応に感謝しています。
今回の経験を通じて、サイバーセキュリティにおいて最も重要なのは「タイミング」であると再認識しました。外部からの通知も必要ですが、最初の防衛層はあくまで各従業員と社内の体制です。
最後に、すべてのビジネスパーソンに伝えたいことがあります。
- 常に警戒を怠らないこと
- 違和感を覚えたら、直感を信じて行動すること
- セキュリティツールを最大限に活用すること
- セキュリティ意識向上トレーニングに継続して取り組むこと
一人ひとりの行動が、組織全体の安全を守る大きな力になります。
こうしたリスクを抑えるためには、メールセキュリティ、定期的なアドバイス、セキュリティトレーニングを組み合わせた、包括的なヒューマンリスクマネジメントの導入が欠かせません。また、従業員が怪しいメールを報告しやすい仕組みを整え、AIやセキュリティスタックの力を活用することで、防御体制をさらに強化することが可能になります。
原典:Javvad Malik著 2025年4月24日発信 https://blog.knowbe4.com/how-organizational-culture-shapes-cyber-defenses