今日の世界では、良くも悪くも無政府状態が続いています。過去数十年にわたり、従来よりも戦場はさらに拡大しています。私たちはすでに、爆弾や戦車を用いた従来の戦争ではなく、認知戦やディスインフォメーションといった目に見えない凶器による第三次世界大戦を経験しているかもしれません。ITプロフェッショナルは、この戦争下の最前線にいます。
沈黙の戦場
現在、世界的な紛争はデジタルの世界で発生することが多くなっています。国家からの支援を受けているサイバー攻撃者は、高度な戦略を使用して世論や政策を操作しています。この「目に見えない戦争」では、サイバー作戦、ディスインフォメーション、認知戦が使用され、直接的な武力を行使することなく敵対勢力を弱体化させます。
中国の認知戦戦術
現在の認知戦では、AIによるディープフェイクを利用した攻撃を仕掛けています。中国人民解放軍(PLA)はロシアの戦略に倣い、情報および心理作戦を軍事ドクトリンに統合し、認知領域における戦いを有利に展開することに重点を置いています。中国はソーシャルメディアやその他のデジタルプラットフォームを悪用し、ディスインフォメーションキャンペーンにより、情報を操作し世論に影響を与えようとしています。
ITセキュリティへの影響
ITプロフェッショナルは、これらの戦術がサイバーセキュリティの重大な脅威になることを認識する必要があります。例えば、フィリピンのような国では、ソーシャルメディアの利用が拡大していますが、未だにデジタルリテラシーが低いため、これらの脅威に対して特に脆弱です。国家規模での効果的な対策としては、コミュニケーション戦略の実施、サイバーセキュリティの強化、データプライバシーの確保やデジタルリテラシーの向上などが挙げられます。
ディスインフォメーション政略
ディスインフォメーションとの戦いは~すなわち、大規模なソーシャルエンジニアリングとの戦い~に他なりませんが、時に政治的な検閲と混同されることもあるため、線引きが非常に難しくなります。フェイクニュースと戦うことは、言論の自由を侵害するリスクがあります。これは、国家の安全と国民の自由のバランスに関する問題を提起しています。この問題に関する解決策はまだ見えていませんが、関係するすべての人々を啓発しなければなりません。
ITプロフェッショナルへの行動喚起
このような「目に見えない戦争」が激化するにつれて、ITセキュリティの専門家は経営幹部や人事部門と連携して、技術的脅威と心理的脅威に対処するための強固な戦略を策定する必要があります。認知戦やディスインフォメーションに対するレジリエンスを構築するには、企業、業界、そして国家レベルでの連携が必要です。まずは、強力なセキュリティカルチャーを有する組織を構築するために協調的に取り組む必要があります。
未来の戦場は地球と宇宙にまで拡大するでしょう。デジタルテクノロジー、イデオロギー、そして、目に見えない凶器によって戦争が形作られていくと考えられます。ITプロフェッショナルは、これらの脅威から身を守るために重要なセキュリティの役割を担っており、望まなくても今後も多くの戦いに加わることになります。
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原典:Stu Sjouwerman著 2024年5月21日発信 https://blog.knowbe4.com/the-shadow-war-cognitive-warfare-and-the-politics-of-disinformation