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World Wide Web Dayに考えるシャドーITとの向き合い方

作成者: TOKYO, JP|Aug 12, 2026, 1:00:00 AM

8月1日のWorld Wide Web Day (WWWの日)は、ウェブがもたらしてきた可能性を改めて振り返るのにふさわしい日です。インターネットは、私たちの働き方を大きく変えました。リモートワークが当たり前になり、以前なら導入に何か月もかかっていたツールも、いまはSaaSで数日あれば使い始められます。また、ドキュメントやチャット、ホワイトボード、タスク管理ツールを使えば、離れた場所にいても一緒に作業を進められます。

しかし、この便利さは、新たなリスクも生み出しました。それが「シャドーIT」です。シャドーITとは、従業員が業務をより楽に進めるために、あるいは承認されたツールでは「遅い」「使いにくい」と感じたために、自ら契約し、利用してしまう非承認のWebアプリやクラウドサービスを指します。

シャドーITは、悪意があって行われるものではありません。多くの場合、その原因は、業務を早く進めたい思い、締め切りに追われるプレッシャー、そして承認プロセスにまつわる煩わしさにあります。

シャドーITが発生し、拡散する理由

仕事に追われていると、人は「一番早く結果にたどり着ける方法」を探すものです。そして、Webはそれを簡単にかなえてしまいます。

  • 登録すれば、ツールをすぐに試せる
  • コラボレーションの手段を数分で切り替えられる
  • 承認を待たずにファイルをアップロードできる
  • リンクをワンクリックで共有できる

一方で、セキュリティのガバナンスは、審査・承認・導入・研修と、どうしても時間のかかるプロセスです。このスピードの差が、シャドーITを生みます。会社が必要なものをすぐに用意できなければ、従業員は自分で外部から調達してしまいます。

シャドーITが広がるもう一つの理由は、業務が相互につながっている点にあります。ある部署がツールを使い始めると、「あそこが使ってるなら大丈夫だろう」と、別の部署も続きます。こうして、いつの間にか組織全体にシャドーAIが広がっていきます。

Webがもたらすリスク

データやアクセス経路が増え続ける環境では、シャドーITは特に大きなリスクとなります。主な懸念点は次のとおりです。

  • 把握できないデータの流出:従業員が社内文書、顧客情報、認証情報、機密情報などを、セキュリティも保管方法も共有の仕組みも不透明なサードパーティ製アプリにアップロードしてしまう恐れがあります。
  • 危険な共有・設定:多くのWebアプリは、情報を公開することを前提にしています。たった一つの設定ミスで、閲覧やダウンロードができる相手が一気に増えてしまいます。
  • 攻撃対象領域の拡大:フィッシングや認証情報の窃取、セッションの悪用、コラボレーション機能の不正利用といった攻撃の入り口が増えます。しかも、その多くは十分に監視されていません。
  • コンプライアンスの逸脱:規制は、そのツールが「非承認」かどうかを考慮してはくれません。管理外のシステムが存在すると、データがどこへ流れ、どのように保護されていたのかを示すことが難しくなります。
  • 一貫性を欠くセキュリティ体制:承認済みのツールには、通常、最低限の保護機能と監査の仕組みが備わっています。シャドーITにはそれがない場合が多く、その結果、組織のリスクを予測しづらくなります。

CISOアドバイザーの視点:禁止するより、安全な道へ導く

シャドーITを「取り締まればよい」とだけ考えていると、うまくいきません。従業員は、隠れて使い続けるか、別の抜け道を探すだけです。目指すべきは、安全な代替手段を「速く、使いやすく、しっかりサポートされている」状態にして、そもそも外部に頼る理由を減らすこと。そして同時に、何が使われているかを可視化し、担当部署が早い段階で対処できるようにすることです。

実効性のある戦略は、通常、次の3つの優先事項をかみ合わせています。

  • 承認済みツールの手間を減らす:スピードと使いやすさを、リスクと引き換えにしなくて済むようにする。
  • 早い段階で可視化する:得体の知れないアプリを、把握して管理できるものへと変えていく。
  • 意識を高める:安全な共有のしかた、責任あるデータの取り扱い、そしてリスクの高い使い方の兆候を見分ける力など、本当に重要なことを従業員に理解してもらう。

今すぐできる:担当部署向けシャドーIT対策チェックリスト

シャドーITは、可視化した上、従業員が回り道をする必要を感じないほどの代替手段を用意できるようになったとき、初めて解消に向かいます。まずは、このチェックリストから始めてみてください。

  • 実態を把握する:どのような非承認アプリ・サービスが使われているかを洗い出し、リスク(データの管理方法、認証システムなど)ごとに分類する。
  • ID・アクセス管理を強化する:強力な認証を徹底し、入社・退職時の手続きと連動させ、機密データへの初期アクセス権をできるだけ絞る。
  • 必要のない共有を減らす:共有権限を点検し、公開リンクや外部からのアクセスを監視するとともに、不審なアップロード・ダウンロードを検知したら通知する。
  • 狙いを絞った研修を実施する:安全なコラボレーションの進め方に加え、不透明なサービスに登録することや情報を共有することに潜む実際のリスクを、従業員に周知する。
  • 監視を継続し、改善を重ねる:定期的に見直しを行い、非承認アプリの削減数、承認済み代替手段の利用状況、管理外サービスに起因するインシデント件数などの指標を追跡する。
  • インシデント後に振り返り、次につなげる:問題が発生した際は、対策とトレーニングを見直し、同じ過ちが起きないようにする。

World Wide Web Dayを機に、シャドーITを正体のわからないものから、きちんと把握して管理できる状態へと変えることを目指しましょう。そうすれば、ウェブはこれからも、組織のリスクを増やすことなく、リモートワークやコラボレーションを支え続けてくれます。

原典:Kawin Boonyapredee著 2026年8月3日発信 https://blog.knowbe4.com/shadow-it-interconnected-web