最高情報セキュリティ責任者(CISO)は、かつてない課題に直面しています。サイバー攻撃の高度化、慢性的な人材不足、複雑化する規制要件などが重なり、多くの組織がサイバーセキュリティへのアプローチを再考せざるを得ない状況になっています。その結果とし、主要なセキュリティ機能をマネージドサービスプロバイダーにアウトソーシングする傾向が高まっています。
アウトソーシングの動向
イギリスのソフトウェア会社Foundryの「セキュリティ優先事項調査2024年版」によると、調査対象となった企業の82%が、今後1年間にセキュリティ機能をマネージドセキュリティサービスプロバイダーやサードパーティーにアウトソーシングすることを計画しています。この傾向には以下に挙げられるいくつかの要因があります。
- スキル不足:サイバーセキュリティの人材不足が世界的に拡大し続けており、企業が社内でセキュリティチームを構築・維持することが難しくなっている。
- コスト効率:特に中小企業にとっては、アウトソーシングによる対策はコスト対効果が高く、セキュリティスタッフを維持するよりも経済的である。
- 24時間365日の対応:マネージドセキュリティサービスは、社内チームでは実現が難しい24時間体制の監視と対応を提供できる。
- 専門知識の活用:サービスプロバイダーは、専門的なスキルや、最新の脅威やテクノロジーに関する最新の知識を備えている場合が多い。
アウトソーシングされる主要なセキュリティ機能
Foundryによる調査によると、CISOが外部プロバイダーにアウトソーシングしている主なセキュリティ機能は以下の通りです。
- 脅威の検出と対応(24%)
- セキュリティ意識向上トレーニング(23%)
- セキュリティオペレーション(23%)
- 脅威インテリジェンス(22%)
- 脆弱性の評価(22%)
- バックアップと復旧(22%)
これらのデータから、企業や組織が多岐にわたるセキュリティ機能を外部に委託しようとしていることが読み取れます。
変化するCISOの役割
アウトソーシングの普及に伴い、CISOの役割も変わりつつあります。CISOは、すべてのセキュリティ業務を直接管理するのではなく、戦略的な意思決定者やリレーションシップマネージャーとしての役割を果たすケースが増えています。CISOはサービスプロバイダーを慎重に選択して監督し、アウトソーシングした機能が組織全体のセキュリティ戦略とリスクの許容度と一致していることを確認しなければなりません。
課題と懸念点
アウトソーシングには多くのメリットがある一方で、課題も存在します。CISOは以下の点を慎重に検討しなければなりません。
- データプライバシー:サービスプロバイダーが厳格なデータ保護基準を遵守していることを確認する。
- 統合:アウトソーシングされたサービスを既存のセキュリティフレームワークにスムーズに組み込む。
- ベンダー管理:複数のサービスプロバイダーとの関係を効果的に管理する。
- コンプライアンス:主要なセキュリティ機能を外部委託するときに、必要な法規制を確実に遵守する。
今後の見通し
サイバーセキュリティを取り巻く環境が進化し続ける中、アウトソーシングの傾向はますます強まることが予想されます。IDCは、2023年から2028年にかけて、マネージドセキュリティサービスの年間平均成長率が12.2%に達すると予測しています。この変化はCISOにとってチャンスであると同時に課題でもあります。CISOは、外部の専門知識を活用する利点と、自社のセキュリティ体制に対する管理と統制を維持する必要性とのバランスを取ることが求められています。
結論として、サイバーセキュリティのアウトソーシングサービスの進行は、組織のサイバーセキュリティへのアプローチを大きく変えつつあります。CISOは、外部の専門知識やリソースを活用することで、自社のセキュリティ対策の能力を強化しつつ、内部リソースを戦略的な取り組みに集中させることが可能になります。
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原典:Stu Sjouwerman著 2024年11月1日発信 https://blog.knowbe4.com/rise-outsourced-cybersecurity-how-cisos-adapting-new-challenges