私がランサムウェアを追い始めたのは、初のランサムウェア事例のAIDS Cop Trojanが1989年12月に登場したときからです。このときの攻撃者は、被害者のコンピュータを操作不能にし、パナマの私書箱に300ドルを送るよう要求しています。歴史を振り返ると、多くのことが変わったことがわかります。
2009年1月にビットコインをはじめとする暗号資産が登場し、2013年にはCryptoLockerが出回りました。これをきっかけにランサムウェアは急増し、以降、ランサムウェアグループは年間で数十億ドルを稼ぐようになっています。
2019年11月からは「二重恐喝」が広がり、まずデータやログイン認証情報を流出させてから暗号化を行う手口が広まりました。ただ、現在では9割以上のランサムウェアがデータを流出させ、40%は暗号化の脅しすらせず、流出データだけで金銭を要求しています。
2022年は身代金支払い額が一時的に減少し、「制御できるようになったのでは」との見方もありましたが、翌年には過去最高額を更新しました。そして2024年には、Chainalysisによると、被害額が再び大きく減少しています。
この数値が本格的な転換点なのかはまだ不明ではありますが、世界各地でランサムウェアグループやメンバーへの法執行や制裁が成功し、多くのグループが分裂や解体に追い込まれています。こうした動きが2025年の攻撃件数や支払い額を減らすかどうかは、これから明らかになるでしょう。
2025年の主なランサムウェアの動向は以下のとおりです。
統計の変動にかかわらず、すべての組織はランサムウェア復旧計画と復旧チェックリストを備える必要があります。
原典:Roger Grimes著 2025年7月22日発信 https://blog.knowbe4.com/ransomware-trends-in-2025