ソーシャルメディアで個人情報を過剰に共有することの危険性:デジタルフットプリントを保護する重要性とは?



今日、人々は常に繋がっており、SNSは日常生活に不可欠になっています。ユーザーはFacebook、X(旧Twitter)、Instagramなどのプラットフォームを使用して、自分のアイデアや体験、プライベートな情報を友人や家族と共有しています。

画像1-May-27-2024-12-24-09-7059-AMオンラインでの情報共有は、コンテンツクリエイターにとってビジネスチャンスにもなっており、お出かけ前のメークアップなどの準備動画(GRWM)、ビーチに飛び込む動画、また、流行のダンスを踊ってみた動画などを作成して、日常生活に関するコンテンツやアイデアを共有しています。

しかし、私たちは、オンラインで個人情報を過剰に共有することの潜在的な危険性を認識しなければなりません。サイバー攻撃者はこれらの情報を悪用し、ユーザーが住んでいる場所や勤務先を特定する可能性があります。

サイバーストーキングの増加

サイバーストーキングは、今日のデジタル環境で実際に起こっています。サイバー攻撃者は、オンライン上の膨大な個人情報を利用して標的人物に関するデータをすばやく集め、その人物に対する嫌がらせや脅迫、さらには実際に危害を加えることさえあります。サイバー攻撃者にとって、ソーシャルメディアプラットフォームは標的とした人物の位置情報、交友関係、興味や日常生活に関する情報の宝庫です。サイバー攻撃者はこれらの情報を入手すると、プライバシーを侵害するために悪用し、さまざまな危険が及ぶ恐れあります。

個人情報を過剰に共有することの危険性

現代では、デジタル化が進み、多くの恩恵を私たちは受けていますが、個人情報の詐取などの重大なリスクも発生しています。今年のKB4-CONで米コンピューターセキュリティ企業SocialProof SecurityでCEOを務めるRachel Tobac氏は、Knowbe4のPerry Carpenterのスマートフォンとメールアドレスを特定するデモを行いました。

Tobac氏は、いくつかのオンラインデータブローカーのWebサイトやさまざまなWebサイトのパスワードリセット機能を活用し、パスワードのリセットから操作を開始し、最終的にCarpenterのメールアドレスの一部と電話番号の下4桁を入手しました。この作業を別のWebサイトを使用して行うことで、Carpenterのメールアドレスと電話番号のその他の部分を入手することができ、数分以内に電話番号とメールアドレスを特定しました。

氏名、生年月日、住所などは、一見すると危険性がないように思われるかもしれません。しかし、サイバー攻撃者はこれらの個人情報を収集して、本人のように見える偽のアイデンティティを作り出します。サイバー攻撃者はこれらの個人情報を使用して、その人物の氏名でクレジットカードを開設したり、ローンを申請したりするなどの詐欺を行う場合もあります。その影響は甚大であり、金銭的な影響にとどまらず、詐欺に悪用され場合は、長期間にわたり社会的な評価が低下することもあります。

また、オンライン上で多くの情報を共有することによって自分の身に危険が及ぶケースもあります。Tampa Bay誌の記事で取り上げられたケースでは、ある若い女性が人気のオンラインゲームをプレイしており、さまざまなプレイヤーとチャットをしていました。チャット相手の1人がその女性に惹かれ、2人はオンラインで会話をしていましたが、最終的にこの男はその女性に、氏名、メールアドレス、電話番号を教えるよう執拗に求めました。この男はこれらの情報から女性の自宅住所を割り出し、メッセージを送り付けて不適切な写真を送るように要求し始めました。

また、この男は写真で使用するための荷物を彼女に送るようになり、最終的にはこの女性に性的暴行を加える目的で家にまで訪れました。幸いにも女性は近隣住民の家に逃げ込むことができ、この男は警察に通報され逮捕、起訴されました。両親が子供に個人情報をオンラインで共有しないよう教育しておけば、このような事件は回避できたはずです。今回の事件からも、オンラインで個人情報を共有することによって恐ろしい結果を招くことがあることは明らかです。

サイバーストーカーはこのようなデータを悪用して、ユーザーの行動を追跡し、計画的に犯罪を企てることができます。このような問題は、ユーザーがソーシャルメディアプラットフォームやその他のオンラインサービスで個人情報を公開するときに慎重になる必要があることを示しています。

このような状況において、もう一つ警戒しなければならないのが、ソーシャルエンジニアリング攻撃です。この攻撃に見られるように、サイバー攻撃者はユーザーがオンラインで共有する情報を利用して、その人物やその人物が信頼する人になりすまします。サイバー攻撃者は一度その人物の信頼を得ると、個人情報やパスワードなどの機密情報を明かすように仕向けます。

これらの情報はサイバー攻撃者にとって宝の山であり、これらの情報を悪用してユーザーアカウントに不正アクセスすることができます。ソーシャルエンジニアリングの仕組みを理解し、オンラインで共有する情報を慎重に選択することは、これらの狡猾な脅威から自分を守るために重要な対策です。

デジタルフットプリントの保護

いつでも相互につながり合うことができる現在の環境では、デジタルフットプリントを保護することはすでに「推奨される」対策ではなく、「不可欠な」対策です。幸い、オンラインで身を守るためのいくつかの予防策を講じることができます。重要な対策の一つは、さまざまなソーシャルメディアプラットフォームのプライバシー設定を熟知することです。これらの設定を行うことで、公開する個人情報の範囲が制限され、信頼できる友人や関係者だけがアクセスできるようになります。

コンテンツクリエイターは、オンラインで何が共有されているのかを認識し、撮影場所をある程度固定する必要があります。また、フォロワーはクリエイターがどのような場所に住んでいるかを知っている可能性があるため、位置情報を特定されるリスクを軽減するために、具体的な位置を把握できるような情報は提供しないようにする必要があります。

さらに、自分のソーシャルネットワークに追加する人を慎重に選択する必要があります。信頼できる友人や関係者のフォローリクエストのみを承認するようにしてください。知らない人物や不審な人物は、自分のデータにアクセスしたり、悪意のある目的のためにネットワークへ侵入したりするサイバー攻撃者である可能性があるため注意が必要です。

もう一つの重要な予防策は、個人情報を共有する前に一度立ち止まって慎重になることです。自身の投稿がどのような結果を招きうるかを常に考える必要があります。共有するデータが悪用される可能性はないか、自身の安全を危険に晒すリスクはないかを自分に問いかけましょう。このような心がけによって多くの意図しないリスクを防ぐことができます。

また、特に位置情報については、できる限りリアルタイムに共有しないでください。休暇中などに訪れた場所の思い出を共有する場合には、その場所から移動した後で共有しましょう。また、正確な位置情報ではなく、大まかな地域だけを共有するようにしてください。こうすることでプライバシーを守りつつ、プライベートな一部の情報をソーシャルネットワークで共有できます。

ビジネス目的でソーシャルネットワークを使用していない場合は、データブローカーから個人情報を削除し、オンラインで自身に関するデータの公開を制限するサービスを使用することを強くお勧めします。

最後に、使用している全てのソーシャルメディアプラットフォームのプライバシー設定を定期的に確認して、更新することを習慣にしてください。プライバシーポリシーと設定は変更される可能性があり、新しい機能によって予期せずにプライバシーが侵害される場合もあります。設定を常に最新の状態に保つことは、個人情報を適切に保護するために非常に重要です。これらを実行することで、自分のオンライン上の情報を適切に管理でき、サイバー脅威から身を守ることができます。

まとめ

現在は、オンラインで簡単に個人情報にアクセスできるようになっています。情報を過剰に共有することによって引き起こされる危険性を認識することが重要です。サイバー攻撃者はこの情報を悪用してストーキングし、危害を加えたり、プライバシーを侵害したりする可能性があります。

リスクを理解し、デジタルフットプリントを保護するための予防策を講じることで、サイバーストーキングの被害に遭う可能性を最小限に抑えることができます。オンラインでの安全性の管理は、自分自身に責任があることを忘れないでください。個人情報をオンラインで共有する際には慎重になり、共有する内容についてよく検討する必要があります。

 原典:James McQuiggan著 2024年5月3日発信 https://blog.knowbe4.com/protecting-your-digital-footprint

Topics: ソーシャルエンジニアリング, KnowBe4 SATブログ

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