バレンタインデーは本来、花束やキャンドルの灯りが似合う季節ですが、デジタルの出会いはここ数年で「希望の場」から「ハイテクの地雷原」へと変化しています。従来は「キャットフィッシング(なりすまし)」への警戒が中心でしたが、2026年はAIを活用したロマンス詐欺へと焦点が移り、より深刻な局面を迎えています。
いまの攻撃者は、単独の人物ではなく、ディープフェイクを駆使するAI活用型の詐欺グループとして動いています。その結果、手口はより精密になり、被害も拡大しやすくなっています。不自然な文章や粗い写真で怪しいアカウントに気づけた時代は、すでに過去のものです。
詐欺の進化:写真の無断使用からディープフェイクのビデオ通話へ
これまでは「今これを持って撮って」と写真を頼めば、本人かどうかをある程度確かめられました。いまでは、攻撃者は、指定された条件に合わせた撮ったように見える写真を即座に生成できます。そのため、画像や動画だけでは本人確認になりません。
最近は次のような手口も増えています。
・ディープフェイクのビデオ通話:リアルタイムディープフェイクやAI音声合成により、ビデオ通話を行っても、安全だと断言できません
・AIの人物像(ペルソナ):自動化されたボットが数か月にわたり、違和感の少ないやり取りを続けて信頼を積み上げます。相手が本物の人間かどうか、ほとんど見分けがつきません
・有名人のなりすまし:有名人になりすましてファンの感情につけ込みます。なかには「推しを助ける」ために住宅ローンを組み直したり、家族と疎遠になったりする被害者もいます
画面の向こうで起きている心理操作
技術が高度化しても、最も危険なのは心理操作です。攻撃者はしばしば高齢層を狙い、孤独につけ込みます。「世界を飛び回る未亡人」や「年下の女性が大人の相手を探している」といった、よくあるストーリーで距離を詰めてきます。
いったん感情を掴まれると、金銭面の被害は一気に深刻化します。家族が助けを求める頃には、すでに25万ドル(約3,750万円)以上を失っているケースも珍しくありません。なかには住宅ローンを組み直したり、周囲の大切な人との関係を断ってまで、資金提供を続けてしまう人もいます。
身を守る方法
AIが声を真似できて、ディープフェイクでリアルな会話まで作れるなら、従来の確認は当てになりません。必要なのは発想の転換です。相手の人柄を評価するのではなく、「お金の話=取引」を疑うことです。
技術が進化しても、目的は変わりません。心と資産を守るなら、次の3つを徹底してください。
・金銭の要求は即アウト:例外はありません。オンラインの恋愛相手が金銭を求めてきたら、ほぼ確実に詐欺です
・不自然な支払い方法に注意:プロの詐欺師は、銀行の監視に引っかかりやすい通常の送金を避けます。暗号資産や百貨店のギフトカードを求められたら、不正な支払いに誘導されていると思ってください
・「緊急事態」の演出に乗らない:突然の医療費、高利回りをうたう投資話、直前の渡航費など、「緊急事態」は理性を飛ばして同情心を引き出すために作られています
テクノロジーは“完璧な相手”を作れても、真摯で見返りを求めない愛までは再現できません。関係が出来すぎているように感じ、最後にあなたの大切なお金を求めてくるのなら、それはソウルメイトではありません。あなたの心と口座を空にしようとする、洗練された詐欺です。
原典:Roger Grimes著 2026年2月10日発信 https://blog.knowbe4.com/love-in-the-age-of-ai-why-2026-romance-scams-are-almost-impossible-to-spot