全てのデータを守る重要性:無害に見える情報も攻撃者の武器に?

TOKYO, JP | 2025年07月9日


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データ侵害というと、多くの人がクレジットカード番号など、お金に関する情報の流出を真っ先に思い浮かべます。しかし実際には、どんなに些細な情報でも、誰かにとっては価値のあるものなのです。

Legal Aidへのサイバー攻撃が、この事実を物語っています。流出した情報は200万件以上に及び、これらには、家庭内暴力の被害者、家事裁判、刑事手続きなどに関する詳細な情報が含まれていました。これは単なるデータ流出ではなく、社会的に弱い立場にある人々の命を脅かす可能性すらある、深刻な事態です。

数年前、Wendy Nather氏が ”chemistry of data”(データの化学反応) という言葉を生み出しました。これは、単体では無害に見えるデータでも、複数を組み合わせることで、危険なものになるという意味です。

しかし、多くの組織は “crown jewels”(最重要データ)の保護を優先し、その他の一見重要ではない情報を見過ごしがちです。

侵害が起きた際には、企業が「財務データは盗まれなかった」「パスワードは保護されていた」といった発表をする一方で、メールアドレスや電話番号、氏名、住所、生年月日など、個人情報の多くが流出していたことを、あたかも重要ではないかのように認めるケースが後を絶ちません。

しかし現代のサイバー犯罪者は、漏洩したいくつものデータ組み合わせて、バラバラの情報から一つの人物像を組み立てていく能力を持っています。まるで一つひとつのピースから全体像を完成させるパズル職人のように、一見無価値に見える基本的な個人情報であっても、犯罪者の手にかかれば、ソーシャルエンジニアリング攻撃へ向けた ”完成品” となってしまいます。

では、どうすればいいのか?ここで紹介したいのが “DEEPアプローチ” です:

Defend(防御)
従業員に到達する前に脅威を止めるシステムを導入。フィッシングメールや悪意あるメッセージをブロックすることで、攻撃を目にする機会自体を減らすことができます。その結果、万が一防御を通過した攻撃が目立ち、気付きやすくなります。

Educate(教育):
セキュリティ意識向上トレーニングやフィッシングシミュレーション、パーソナライズされたコンテンツを通じて、従業員が脅威に対する正しい意識を持つように支援。これは、脅威や脆弱性を正確に理解し、的確な判断を下すための土台となります。

Empower(当事者意識を植え付ける):
データの保護を全員の責任とする文化を育む。懸念や異変に気づき、報告した人をきちんと評価する体制を整えましょう。

Protect(保護):
セキュリティ対策を多層的に導入。完璧な防御は存在しません。だからこそ、被害発生時の影響を最小限に抑え、レジリエンスのある仕組みを築く必要があります。

Legal Aidの事例は、「価値の低いデータ」など存在しないことを私たちに突きつける強烈な教訓となりました。私たちが保有するすべての情報には、それぞれにリスクが伴います。すべての脆弱性を排除することはできなくても、すべての情報を守るという姿勢を、組織文化のDNAに組み込むことは可能です。

残念ながら、データの本当の価値が明らかになるのは、それが悪意のある手に渡ったときです。守るべきなのは、重要な情報だけではありません。すべてのデータが、守るに値します。

Topics: フィッシング, KnowBe4 SATブログ, セキュリティ文化

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